2017年5月1日から5月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2017年5月の新刊 上」を掲載しました。
今回注目するのは、PHP文芸文庫です。
火坂雅志さんの『左近 上』、『左近 下』は、“石田三成に過ぎたるもの”と称えられた戦国武将・島左近清興の生涯を描いた長編小説です。
大和国を治める筒井家にあって、その剛直ぶりと胆力を認められ、左近は若くして侍大将に取り立てられる。しかし、永禄2年(1559)、梟雄・松永弾正久秀が、柳生宗厳(のちの石舟斎)らを寝返らせて大和に攻め入ってきた。次々に城を落とされて筒井勢は窮地に陥り、あるじ順慶のいる筒井城も孤立してしまう。そんな中にあって、左近は松永勢を追い出すべく、ひとり気を吐くのだが……。
石田三成を支え、「鬼神の如し」と敵から怖れられた猛将・島左近。著者の急逝により、大作は未完ながらも、そのいくさ人ぶりを活写されています。
矢野隆さんの『将門』もおすすめです。10世紀半ばの坂東(関東)に、覇を唱え、新しい世界を造ろうとした平将門。その生き様をダイナミックに描いたアクション時代小説です。